障害者スポーツを純粋に「スポーツ」と して、ゆるく、楽しく、刺激的に発信!

スペシャルオリンピックス 2017冬季世界大会レポート

3月18日(土)オーストリアのシュラトミングで 行われた開催式にて、入場行進をしている日本選手団

3月18日(土)オーストリアのシュラトミングで
行われた開催式にて、入場行進をしている日本選手団

スペシャルオリンピックスとは
スペシャルオリンピックス(以下、SO)とは、知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である大会や競技会を、年間を通じて提供している国際的なスポーツ組織です。 SOでは、これらのスポーツ活動に参加する知的障害のある人たちをアスリートと呼び、 世界170以上の国で活動が展開されており、約470万人のアスリートがSO活動に参加しています。SOでは、オリンピック種目に準じた29競技(夏季:21競技/ 冬季:8競技)を実施しています。
SOの始まりは1968年。故ケネディ大統領の妹ユニス・シュライバーが当時スポーツを楽しむ機会が少なかった知的障害のある人たちに、スポーツを通じて社会参加を応援するため 「スペシャルオリンピックス」を設立しました。彼女の姉ローズマリーが知的障害を持っていたということもあり、ユニスは知的障害のある人たちに対する社会のネガティブな固定観念や差別的な態度を変えたいという強い想いで、SOの拡大に生涯を捧げ、SOの活動は米国から世界中に広がっていきました。

アルペンスキーの競技にて、滑走するアスリート 弓削まり子さん

アルペンスキーの競技にて、滑走するアスリート 弓削まり子さん

2017年SO冬季世界大会・オーストリアについて
SOでは、オリンピックと同様に夏季・冬季の世界大会を4年毎に開催しています。2017年3月に「2017年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・オーストリア」(以下、オーストリア大会)が開催され、107の国からおよそ2,700名のアスリートが参加し、冬季の世界大会としてはSOの歴史上で最も大きな大会となりました。日本からは 昨年の2016年2月に新潟で開催された冬季国内大会の結果を基に選ばれた54名のアスリートが、9競技中7競技に参加しました。
本大会はオーストリアのグラーツ、シュラトミング、ローアモース、ラムサウの4つの地域で開催され、特にシュラトミングとラムサウはアルペンスキーやノルディックスキーの世界選手権などの国際的なスポーツイベントが行われたこともあるヨーロッパでも有数のウィンタースポーツが盛んな地域です。私がシュラトミング入りした際には、その美しい自然と町の景観に目を奪われると同時に、至る所に本大会の旗やのぼりが立てられ、町中が「スペシャルオリンピックス」の大会一色になっていることを強く感じました。
3月18日(土)にオーストリア大会の開会式がシュラトミングの屋外会場で行われました。世界中から集まった観衆の中、入場行進をし、日本選手団をはじめ全てのアスリートの笑顔が絶えることなく行われ、開会の幕が開きました。
オリンピックで2度メダルを獲得したスペシャルオリンピックス日本の有森裕子理事長も、アスリートが持つエネルギーの大きさにとても驚いていました。
世界大会を通して、多くのアスリートが世界のアスリートの「強さ」を実感したようです。体格的な違いだけではなく、競技技術の高さやスピードに驚き、世界との差を感じる一方で「最後まで諦めなかった」「世界の強豪に臆することなく立ち向かうことができた」と語るアスリートが多く、彼らの表情から満足感や充実感といったものを感じました。「4年後は勝ちたい」と、すでに視線が次の世界大会に向いているアスリートもいました。また、競技会のみならず2週間にわたる海外での生活や、各国のアスリートやコーチ、ボランティアとの交流など様々な経験が自信につながったというアスリートもいて、今回の世界大会が多くのアスリートにとってかけがえのない成長の機会となったのではないでしょうか。

スペシャルオリンピックスの課題
日本でのSOの活動は1994年に始まり、現在は約8,000人のアスリートがボランティアに支えられ、全国で活動を行っています。しかし、日本国内ではその活動がまだまだ周知されていないのが現状で、より多くの方にSOについて知っていただくことが、一つ目の課題です。
また、日本国内には知的障害のある人が約55万人(内閣府 平成25年度版 障害者白書より) いますが、SO活動に参加するアスリートはその1.4%にすぎません。そのため、知的障害をある人にスポーツをする機会の提供を広げていくことが課題であると同時に、アスリートを支えるボランティアの数も増やしていく必要があります。
そして、課題としてファンドレイジング(資金調達)が挙げられます。SOは非営利活動のため、その運営資金は企業や団体、個人の方々からいただくご寄付・ご協賛によって成り立っていますので、今後SOの活動や理念への賛同を広め、どのようにファンドレイジング活動を進めていくかは重要な課題です。

2018年第7回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・愛知
2018年9月に、スペシャルオリンピックスの夏季ナショナルゲームが愛知県で3日間にわたって開催されます。本大会は2019年にアラブ首長国連邦のアブダビで開催される世界大会への日本選手団選考を兼ねていて、愛知県内各所で、総勢1万人以上が集まる大規模なスポーツの祭典になります。ぜひご注目ください!

写真提供:スペシャルオリンピックス日本
著者プロフィール
市川聖也(公益財団法人スペシャルオリンピックス日本 経営企画部)
大学卒業、民間企業での勤務を経て、スペシャルオリンピックスの創設者であるユニス・ケネディ・シュライバーのスポーツを通して、知的障害のある人たちに対する社会のネガティブな固定観念や差別的な態度を変えたいという想いに賛同し、昨年より9月より現職。

News

スペシャルオリンピックス 2017冬季世界大会レポート

スペシャルオリンピックスとは スペシャルオリンピックス(以下、SO)とは、知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である大会や競技会を、年間を通じて提供している国際的なスポーツ組織です。 SO …

【ブラインドサッカー】日本代表、王者ブラジル代表に攻めのサッカーで挑む

ブラインドサッカーの国際親善試合・さいたま市ノーマライゼーションカップが3月20日、 フットメッセ大宮で開催され、日本代表チームは世界ランク1位のブラジル代表と対戦した。日本は前半、5番黒田智成選手、7番川村怜選手、4番 …

日本5番黒田智成選手

【第28回全国車いす駅伝競走大会】優勝は大分A 10年ぶり9回目

第28回全国車いす駅伝競走大会が3月12日、京都市内で開催され、大分Aチームが優勝。記録は45分56秒だった。大分の優勝は10年ぶり9回目。昨年の前回大会では中継ミスにより失格となった福岡チームが2位。3位には、岡山が入 …

優勝は、大分Aチーム

【東京マラソン2017】車いす男子 渡辺勝選手が優勝

東京マラソン2017は2月26日に開催され、車いす男子は、渡辺勝選手(25歳、所属:TOPPAN)が優勝した。記録は1時間28分01だった。2位は、リオ・パラリンピック金メダリストのマルセル・フグ選手(31歳、スイス)で …

車いす男子の優勝は渡辺勝選手(写真提供Ⓒ東京マラソン財団)

【寄稿】知ってる?スポーツとフェアトレードの深い関係(後編)

【後編】オリンピック・パラリンピックにもフェアトレードを  手縫いで作られるサッカーボール。その70%がパキスタン製って知っていますか?その数およそ年間4000万個。世界中の人たちを夢中にさせるサッカーですが、ゲームに欠 …

Maker
Copyright © パラスポ! All Rights Reserved.