谷口真大選手(T11)とガイドの池澤暁さん(パラ陸上日本選手権大会、2015年7月撮影)

谷口真大選手(T11)とガイドの池澤暁さん(パラ陸上日本選手権大会、2015年7月撮影)

【2】視覚障がい者の3つのクラスは、どう違うの?

「視覚障がい者がパラリンピックのような大会に出る場合、障がいの内容や程度によって、
3つのクラスのうち、どれか1つのクラスに分けられるのですね。3つのクラスは、どう違うのですか?」

前回(Q1)では、視覚障がい者は3つのクラスに分けられて競技をするということをご紹介しました。
今回は、3つのクラスは、障がいの種類や程度でどのような違いがあるか説明していきたいと思います。

日本パラ陸上競技連盟のクラス分け説明表(2014年度版)は、IPC(国際パラリンピック委員会)の
クラス分けマニュアルにそって、障がいのクラスを次のように解説していました。

そのなかで、視覚障がいの3つのクラスについては、次のように記載されています。

【視覚障がい】(T=トラック種目、F=フィールド種目)
T11/F11

光覚なしから光覚まで。どの距離や方向からでも手の形を認知できないもの。

T12/F12
手の形を認知できるものから、視力0.03まで、または視野が5度以内のもの。

T13/F13
視力は0.04から0.1、または視野20度以内のもの。

上記は、陸上の3つのクラス(T11/F11,T12/F12,T13/F13,Tはトラック種目、Fはフィールド種目)
を示していますが、水泳の自由形・背泳ぎ・バタフライはSで示し、S11、S12、S13。
平泳ぎはSBとし、SB11、SB12、SB13。個人メドレーをSMとして、SM11、SM12、SM13と示しています。
また、ブラインドサッカー、ゴールボール等はB1、B2、B3で示しています。

基本的に、3つのクラスの各クラスの内容は同じです。

つまり、

B1=T11/F11=S11、SB11、SM11

B2=T12/F12=S12、SB12、SM12

B3=T13/F13=S13、SB13、SM13

となります。

B1は、いわゆる「全盲」クラスといわれています。

B2とB3は「弱視」クラスですが、B2のほうがB3より見えにくいクラスといえます。

3つのクラスをもう少し詳しくみていきましょう。

B1は、視覚障がいのなかで最も障がいの程度が重いクラスになります。

「光覚なしから光覚まで」という説明の「光覚」とは、あまりなじみのない言葉かもしれませんが、
「明暗がわかる」という表現をすることがあります。つまり、明るいか暗いかの判別ができるかどうかです。

実際には、視覚障がいのある方に、暗い検査室でライトを目の前で照らし、
「明かりがついているのがわかりますか?」とおたずねします。
違いがわかれば「光覚あり」ですし、わからなければ「光覚なし」となります。

B2とB3は、「視力」と「視野」の差で分られています。

クラス分けにおいては、「視力」と「視野」では、「視力」のほうを優先して判断します。
例えば、視力は0.03より低いが、視野が5度より広い方は、視力を重視してB2となります。

視力について

図1 視力について

視力検査を受けたことがある方は、アルファベットの「C」のマークをご存じだと思います。
「C」のマークは、ランドルト環というものです。

「視力」は、5メートルの距離から、2つの点が離れてること(ランドルト環の切れ目)を見分けることが
できるかどうかで示されます。
ランドルト環の切れ目の、人の目に対する角度が1分(1度の60分の1)であれば、視力は1.0となります。

視野とは

図2 視野とは

「視野」とは、「目を動かさずに見える範囲」を指しています。
正常な目(右眼)の場合、目を動かさずに見えるのは、上方60度、下方75度。
鼻側(左側)に60度、耳側(右側)90度以上とされています。

視野の範囲(ゴールドマン視野計で、Ⅲ/4eの視標を用いて測定したもの)

視野の範囲
(ゴールドマン視野計で、Ⅲ/4eの視標を用いて測定したもの)

ゴールドマン視野の視標

図3の2 ゴールドマン視野の視標

図3の1は、ゴールドマン視野計という専門機器で、視野を測定した結果(Ⅲ/4eの視標を使用)を示したものです。

等高線のように書かれている円の中に、黒い太線で書かれているのが、正常な目(右眼)の視野
(上方60度、下方75度、鼻側60度、耳側90度以上)を示したものです。

図3の1の円の右のほうにある数字「90」の方向が、測定者の顔の耳側を示しています。
「60」の方向が鼻側、図の円の上が上方、下が下方を示しています。

B2の説明で「視野が5度以内」とありますが、5度とは、ゴールドマン視野計の結果を示す
円の半径を示しています。
つまり、視野が「5度以内」とは「半径5度以内=直径10度以内」の円の範囲になります。
これは目を動かさずに見た時、上下左右5度の範囲内の視野ということを意味します。

円の大きさで示されますが、B2の視野「5度以内」は、B3の視野「20度以内」よりも狭くなります。

今回は、B1、B2、B3のクラス分けについて、詳しくみてみました。

まとめになりますが、B1は、全盲の方で、光覚のある方とない方、両方が含まれます。
B2とB3は、視力と視野の程度で分けられています。

視覚障がいのクラスは、すべての競技において共通のクラス分けを行っています。
B1、B2、B3のどのクラスにも該当しない選手は、NE(不適格)ということで、
競技に参加することができません。

国際大会で視覚障がいの競技に出場するためには、クラス分けを受けることが前提になっています。

(監修:西田朋美・国立障害者リハビリテーションセンター病院)
(構成・執筆:河原由香里)
(イラスト作成:前川亜希子)